2014年12月24日水曜日

年末年始のお休みについて。

戸井敏夫税理士事務所は、12月28日から1月4日まで、年末年始につき、お休みをいただきます。

お客様におかれましては、なにかとご不便をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

(また、HPが現在リニューアル作業中のため、HP上にてお知らせできず、誠に申し訳ございません。)

医療法人の出資持分あり法人から出資持分なし法人への移行問題(後編)。

前回は、持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人への移行が、なぜ最近に取り沙汰されているか、を中心にお話ししました。
今回は、①持分の定めのない医療法人の種類、②移行に必要な手続き、③税法上の取扱いと例外的な取り扱いの紹介(その例外を適用する場合の難しさ)について、簡単に紹介したいと思います。
 

① 持分の定めのない医療法人の種類

持分なしの医療法人は4種類に分かれるとされています。
まず、いわゆる①「通常の持分なし医療法人」、②「基金拠出型医療法人(医療法施行規則30条の37)」、③「社会医療法人(医療法42条の2)」、④「特定医療法人(租税特別措置法67条の2)」です。

通常は、(特に相続のことを考えるのであれば)基金拠出型を選択せずに、また、③④の法人の要件は別途考慮するとして、まずは、①の通常の持分なし医療法人(②から④以外の医療法人)を選択することを考えます。

(社会医療法人というのは、①公益性の高い事業を実施すること、②社会医療法人債を発行できること、③一定の収益事業を行うことができること(公益法人等として収益事業課税なります。参照、法人税法別表第二)、がその特徴とされています。その要件については、医療法42条の2、なかんずく同6号の公的な運営に関する適合要件が重要で、同要件は、医療法施行規則30条の352に明定されています。特定医療法人は、持分の定めのない医療法人のうち、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他の公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき租税特別措置法施行令39条の251項で定める要件を満たすものとして、国税庁長官の承認を受けたものをいいます。なお、承認後に終了する各事業年度において、法人税率の特例の適用を受けることができます(19%、年800万円以下の部分については15%:協同組合並み課税)。基金拠出型医療法人は、文字通り、基本財産等に対応する部分を出資としてではなく基金として維持している法人のことです。)
 

② 持分の定めのない医療法人への移行に必要な手続き

それでは、何とか病院を残すためにも、持分なしに移行しましょう、と病院の理事会で話し合が持たれたとします。

でも、ここには大きなハードルがあります。
「出資したものを返してもらえなくなるのは困る」という意見が出るのは当然ですよね?
出資したのが10年前でも50年前でもやはり出資したものは返してほしい、というのが当然の意識でしょう。
つまり、全出資者に出資持分を放棄してもらう必要があります。
この放棄の同意を全員から取り付ける必要があります。これは、骨が折れる作業です。
さらに、持分の定款を変更する必要があります。

以下に、移行に必要な作業を簡略に示しておきます。

1) 社員総会決議(医療法48条の37項)・・・通常、3分の2以上の賛成が必要。
・出資持分の放棄、持分なし医療法人への移行の決議
・定款変更決議
⇒出資持分に関する事項について
(退社時に出資額を払い戻さない旨、及び、解散時にも出資額を払い戻さず、解散時の残余財産を国・地方公共団体、財団医療法人、出資持分のない医療法人等に帰属させることを決議する(医療法4425号)。)
⇒役員の定数
(理事6名、監事2名以上とすることを決議し、さらに、その役員のうちに占める親族等の割合を3分の1以下としておく。)

2) 税務署への届出
・「異動事項に関する届出書」の提出
(会計処理としては、同時に出資金(資本金)を資本準備金に振り替える。)

3) 実際の定款変更手続き(都道府県知事への定款等の提出と認可申請⇒認可)
 

③ 持分なし医療法人への移行に際して障碍となる税金の問題

それでは、税金の問題は、どうなのか?
ここが一番気になるところですし、大きな問題となっています。
 
移行時の基本的な税制上の取り扱いについて

【原則:移行時課税】

持分あり法人から持分なし法人へ移行するということは、出資者が持分を放棄するということです。
出資者全員が持分を放棄して持分なし医療法人へと移行すると、放棄した持分の額面とその額面に応じた、法人の含み益部分が出資者から医療法人に贈与されたものとみなされて、医療法人に贈与税課税されることになります(相続税法664項)。

⇒換言すれば、会社の財産を時価評価した時の純資産部分が出資者から医療法人へと贈与されたこととして贈与税を課税されることになります
⇒つまり、持分なし医療法人へ移行すると、法人に贈与税がかかる、ということです。

なお、出資者が純資産部分に対する払戻請求権を放棄したのであれば、法人に(例えば、債務免除益のように、)受贈益が生じ、これに対して法人税が課されるのではないか?とも考えられますが、この点は、立法的措置によって、受贈益として法人税課税がされないことになっています(法人税法施行令136条の4)。

【例外:原則的な贈与税課税の回避(相続税法施行令33条)】

上記の原則的な税制上の取扱い(放棄された純資産部分への贈与税課税)を回避する途が残されています

上記の原則的取扱いは、元々は、財産家が持分のない医療法人や公益法人などに個人の財産を寄付や拠出金として無税で移すことによって、その財産を利用したり、そこから上がる収益を給料としながら、相続税を回避しようとしたため、その対抗策として設けられた規定です。
このような理由により創設された制度のため、そのような税金逃れの目的を有しない法人や出損者(≒出資者)に対しては、持分がない法人に財産を移したからといって直ちに贈与税を課税することがないように、医療法人への贈与税課税を回避させるための立法的措置がさらに設けられました。
その立法的措置の内容は、法人が『一定の条件』に当てはまるときは、上記の贈与税課税を行わないものとする、というものです(相続税法施行令333項)。

・例外規定を適用するための要件

それでは、その例外を適用するための一定の条件とは・・・、
① その運営が適正であり、定款、寄附行為等に、その法人の役員等の数のうちに占める親族等の数の割合が3分の1以下とする定めがあること、
② 法人が、法人に対する財産の贈与者等、設立者、社員、役員又はこれらの者の親族等に、特別の利益を与えないこと、
③ 定款、寄附行為等に、法人が解散した場合の残余財産が国等又は公益社団財団法人その他の公益を目的とする事業を行う法人に帰属する旨の定めがあること、
④ 当該法人につき、法令に違反する事実、帳簿書類に取引を隠ぺいまたは仮装して記録等する事実その他公益に反する事実がないこと
* ただし、運営が適正かどうかについては別途基準があります(下記参照。)。

持分なし医療法人に移行する場合には、上記の原則的な取り扱い(相続税法664項)を例外規定(相続税法施行令33条)により回避する必要がある(つまり『一定の条件』を満たすことが必要!)

・運営適正要件・・・実務家が迷うところ


 「運営が適正」かどうかの要件は、相続税法個別通達(持分の定めのない法人に対して財産の贈与等があった場合の取扱いについて ―(第二 15)その運営組織が適正であるかどうかの判定)に示されています。
 この通達の内容は、それこそ、運営の適正さを担保するための要件となっています(例えば、まず下のチェックリストでまずはチェックしてみると便利です)が、その最後に、「贈与等を受けた法人が行う事業が、原則として、その事業の内容に応じ、その事業を行う地域又は分野において社会的存在として認識される程度の規模を有していること。
 この場合において、例えば、次の事業がその法人の主たる目的として営まれているときは、当該事業は、社会的存在として認識される程度の規模を有しているものとして取り扱う。」という要件があります。

■ その「次の事業」とは・・・

医療法(昭和23年法律第205号)第1条の22項に規定する医療提供施設を設置運営する事業を営む法人で、その事業が次の()及び()の要件又は()の要件を満たすもの

() 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第30条の3521項第1号ホ及び第2((社会医療法人の認定要件))に定める要件(この場合において、同号イの判定に当たっては、介護保険法(平成9年法律第123号)の規定に基づく保険給付に係る収入金額を社会保険診療に係る収入に含めて差し支えないものとして取り扱う。)
() その開設する医療提供施設のうち1以上のものが、その所在地の都道府県が定める医療法第30条の41項に規定する医療計画において同条第2項第2号に規定する医療連携体制に係る医療提供施設として記載及び公示されていること。
・・・(イ)と(ロ)は、社会医療法人の認定要件です。

() その法人が租税特別措置法施行令第39条の251項第1((法人税率の特例の適用を受ける医療法人の要件等))に規定する厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たすもの
・・・(ハ)は特定医療法人の認定要件です。

つまり・・・、
(イ)、(ロ)の社会医療法人に準じた要件の簡略版、なのです。
ですから、例えば・・・
・社会保険診療等に係る収入金額が全収入金額の80%以上
・自費患者に対する請求方法が社会保険診療と同一
・医業収入が医業費用の150%以内
・役員及び評議員に対する報酬等の支給基準を明示
・病院又は診療所の名称が4疾病5事業に係る医療連携体制を担うものとして医療計画に記載
といったことが、具体的な要件となっています。

(ハ)は特定医療法人に準じた要件の簡略版ですから、
・社会保険診療等に係る収入金額が全収入金額の80%以上
・自費患者に対する請求方法が社会保険診療と同一
・医業収入が医業費用の150%以内
・役職員に対する報酬等が3,600万円以下
40床以上又は救急告示病院
・差額ベッドが全病床数の30%以下
といったことが具体的には要件とされています。
 
そして、ここでよくある解説の間違いとして挙げられるのが、社会医療法人や特定医療法人の要件を満たさなければ、「社会的規模を有する存在として」認められないというものです。
そう読んでしまう気持ちはわかりますが、果たしてそういえるのでしょうか?

ここは、よく読んでください。

「この場合、例えば、次の事業がその法人の主たる目的として営まれているときは、当該事業は、社会的存在として認識される程度の規模を有しているものとして取り扱う。」
つまり、社会医療法人や特定医療法人となるための要件を満たしている場合は、当然に「その事業の内容に応じ、その事業を行う地域又は分野において社会的存在として認識される程度の規模を有している」と認められるということを例示したに過ぎません。
つまり、「これこれの場合に社会的規模を有するものとして認められるのは当たり前だ、その当たり前の例として挙げているに過ぎない」という意味です。
また、「社会的存在として認識される程度の規模」というのは、法律用語でもなんでもないですから、一般論として、判断されるものにすぎないと考えられます。もちろん、このような曖昧な表現が通達にある場合は、(規定振りの良い悪いは別として)実際に移行する場合には、この点については、国税庁等に確認することとなります。
 
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 移行に向けてのまとめ・チェックリスト(簡略版)

1.   医療法人の役員等の数のうちに占める親族等の割合を3分の1以下と定款に定めているか?
2.   法人が解散した場合の残余財産が国等又は公益社団財団法人その他の公益を目的とする事業を行う法人に帰属する旨の定めが定款にあるか?
3.   法人に法令違反等がないか?帳簿が適正か?
4.   法人に対する財産の贈与者、設立者、社員、役員又はこれらの親族に特別の利益を与えていないか?
(役員等には、その地位にあることのみに基づき給与等を支給しないこと)
5.   理事の定数は6人以上、監事の定数は2人以上と定款に定めているか?
(監事には、理事(その親族その他特殊の関係がある者を含む。)及び評議員(その親族その他特殊の関係がある者を含む。)並びにその法人の職員が含まれてはならないこと。また、監事は、相互に親族その他特殊の関係を有しないこと。)
6.   出資持分の出資者(社員)全員による放棄を決議できるか(全員が放棄に同意してくれるか)?

移行を考える際には、まずは、上記の要件について検討してくださいね。
そして、何より、まずは税理士にご相談を!

医療法人の移行問題について、ご質問等がございましたら、この記事のコメント欄か、直接メールにてお問い合わせください。

2014年12月11日木曜日

医療法人の出資持分あり法人から出資持分なし法人への移行問題(前編)。

 最近、医療法人の「出資持分の定めのある医療法人から、出資持分の定めのない医療法人への移行」がクローズアップされています。
(以下では、単に「持分あり医療法人」とか、「持分なし医療法人」ということにします。)

 最近にこの問題が話題となっている理由の一つには、平成26年10月1日から、移行を促進するための税制が適用されることになったことにあります。
(もともと難しい税制なのですが、この税制の適用結果だけをお伝えすれば・・・移行中に持分権者が死亡して相続が開始された場合や、バラバラに持分が放棄された場合にもその時点では課税はせずに猶予して、さらに、最終的に持分なし医療法人に移行した場合には猶予した課税をも免除する、というものです・・・何を言っているのかわかりませんね・・・。)

 もっとも、この移行促進税制の適用を受けるためには、厚労大臣から移行計画の認可決定を受けておく必要があるなど、適用に際してややハードルが高く、それほど使い勝手が良い制度とは言えないようです。
(厚労省も財務省への予算要求書で、年間の適用実績見込みを全国11件としています・・・。)

  • 出資持分のありorなしとは、どういうこと?

戦後昭和20年代に医療法人制度ができたころから、医療法人にはもともと、持分がある医療法人と持分がない医療法人がありました。この持分というのは、出資金の持分のことです。
 出資持分というのは、株式のように、出資した分だけ、全体1000口中の150口というように、各自に持分権が与えられるということを意味しています。持分権があるということは、出資者はいずれ、条件付きながらも、一応、医療法人から出資の払戻しをしてもらえるということです。
他方で、持分なしの場合には、出資者(出損者)は払戻しをしてもらえません。
出資の払い戻しについては医療法人の定款に定めます。

 歴史的な経緯(それも課税上の問題の経緯)や、単純にいつかは出資金を返してもらえる、という私的財産への所有意識から、持分あり医療法人が圧倒的に多く、現在でも大多数は、持分あり医療法人です。
普通は、篤志家でもない限り、なかなか出資額が返ってこないものに寄付をしたりしませんよね。
当然といえば当然です。

  • そもそも、どうして持分なし医療法人への移行が必要なのか?

平成18年の医療法改正により、今後持分あり医療法人は設立できなくなりました。それでは、これが理由?・・・違います。今のところ、持分なし医療法人への移行は法律上、必須ではありません。
・・・やはり、お金の問題です。
 出資者は、医療法人に対し、「医療法人の出資者から抜けるから出資持分を返してくれ」ということができます。もし、出資者が亡くなったら、出資者から出資持分の相続を受けた人たちは、通常、(相続税のこともありますし)その受け継いだ出資持分の分のお金を返してもらうように、医療法人に求めます。
 そうすると、医療法人(病院)は、もちろん、お金を返さなければなりませんが、かつて出資してもらった持分は、いまや土地や建物や高額な医療設備となって稼働しています。
計算上は出資持分(や内部留保)があるのですが、キャッシュという形で返還のために十分に残っていないかもしれません。そうすると、不動産などの資産を売却してお金を返さなければならなくなります。
・・・そうなると病院を続けることはできなくなりますね。
そこで、やはり、持分をなくしてしまった方が良い、ということになるわけです。
あくまで一般論ですが、このようなケースが多いのではないでしょうか。

(次回の投稿に続きます。次回は、税法上の取り扱いについてです。)

2014年11月21日金曜日

今年も終わりに近づいてきました。

今年も終わりが近くなってきました。

最近はめっきり寒くなり、そろそろ職場でインフルエンザの予防接種も始まります。
これからの寒い季節、税理士事務所は翌年5月末までの繁忙期に入ります。

年末調整、所得税の確定申告、そして、3月決算法人の決算および5月末の法人の申告納税まで一気に駆け抜けます。
もちろん、並行して通常業務もあります。

クリスマスが近くなったこともあり、
事務所が入っている第5平岸グランドビルの一階玄関にクリスマスツリーが飾り付けられていました。

季節の移り変わりは早いですね。
そろそろ、年賀状、手帳なども準備しなければなりません。

寒くなりますので、風邪などひかれませんようご自愛ください。

--
戸井税理士事務所では
facebook pageも作成しています。
先日の写真撮影準備の様子などもアップしておりますので、
是非ご覧ください。

2014年11月12日水曜日

保険業務の研修会で講師を務めました

 はじめまして、事務所ブログ初登場の職員の更田と申します。
 ご存知の方もそうでない方も、よろしくお願い致します。

 先月のことになりますが、10月3日に同僚の竹田が講師を務めました「札幌推進の会KIBOU塾(知識編)」に参加してまいりました。この「札幌推進の会KIBOU塾」は、保険業務について会計事務所職員同士で行う勉強会です。今回は、企業を守る保険指導業務(『企業防衛業務』)の行動理念を確認するという研修内容でした。

(企業防衛とは、企業の経営者に万が一のことがあった場合にも、保険によって、その企業を守り(防衛し)、存続させ、次代へ承継させていくための業務です。)

 彼は普段から体格も態度も大きいのですが、今回も堂々とした良い講義でした。私は座って聴講していたため殊更大きく見えました。
 冗談はさておき、今回の研修で印象に残ったのは、企業防衛制度の8原則のうちの第一原則の「関与先の防衛問題を、関与先の経営者の肉親の一人として、親身になって解決してやるのだ、との純粋かつ崇高な使命感から助言し指導すること」です。
 入所当初の研修にて、この原理を習い、以後従ってきたつもりではありますが、「肉親の一人として」とは、改めて考えると重い言葉です。
 今後もこの原理原則に従い企業防衛の一助になれればと身の引き締まる思いになりました。

 最後に画像は彼の凛々しい姿を写したものですが、撮影者の私の腕が未熟なため、写りがもうひとつであることを付け加えさせていただき、今回のご報告を終了とさせていただきます。
 

2014年10月31日金曜日

過日、某所にて・・・土地評価と紅葉

土地の評価のために現地に赴きました。
山際にある土地だったので、山の紅葉が美しく、土地の写真とともに紅葉の写真も撮影してしまいました。
(写真では見えずらいですが、本当に美しい紅葉でした。)
現在では、北海道はすっかり寒くなり、朝晩は暖かなコートが必要な時期を迎え、紅葉の季節も終わりを迎えております。


戸井税理士事務所では、日ごろ、会社や事業の税務会計業務をご依頼いただいているお客さまからそのまま相続のご相談を戴くことも多くあります。
その際には、所長、担当者が共同で事案に対応しております。
相続シュミレーションなどももちろんご用意致しておりますが、まずは、財産を評価して把握するところからがスタートであり、最も重要です。
意外な財産が眠っていたり、土地の評価に驚いたりと、意外な情報が提供されることもしばしばあります。
そして、「財産の価値が大体これくらいだろう・・・」とお考えの方も多いかもしれませんが、こうした漠然とした予想もまた大きく外れていたり、税務上の手当てによって、相続税上、評価を圧縮できたりと意外な結果(情報)が提供されるものです。

お客様のお話を十分に伺いながら、作業は進行していきます。

当事務所では、相続や相続税のご相談を随時お受けしております。
お気軽にお問い合わせください。

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戸井敏夫税理士事務所は平岸駅から徒歩3分です。
(もちろん、ご訪問も可能です。)
電話: 011-824-1020
mail: toi-kaikei@tkcnf.or.jp
(まずは、お電話かメールにてお問い合わせください。)

2014年10月30日木曜日

北大法学会に出席しました。

10月24日に北大法学会(北大公法研究会共催)で開催れた講演会に出席しました。

講演者は、藤田宙靖前最高裁判所判事(日本学士院会員、東北大学名誉教授)です。
藤田先生は、学者出身の最高裁判事として7年半務められました(藤田先生のお師匠様の田中二郎先生も最高裁判事を務められましたね。)。

講演タイトルは、「司法の使命と役割・学説の使命と役割」です。

藤田先生といえば、『新版 行政法Ⅰ(総論)』や『行政法入門』などの教科書が有名で定評があります。
どちらも素晴らしい教科書です。

藤田先生は、第三小法廷にいらしたので、
行政訴訟では、病院開設中止勧告事件などをはじめとして、
税務訴訟でも、ストックオプション課税事件やオウブンシャホールディング事件などをはじめとして、
多くの訴訟で判事を務められています。

さて、講演内容は、最高裁判所裁判官ご経験者としてのお立場から法学者や法学(学説)の役割をややシニカルにかつ軽妙に述べておられました。
安念教授の論説を引いて、「法律学とは、所詮「暇潰しの芸能」であるにすぎない」というのは強烈でしたが、

「裁判官は、法解釈学説が無くとも、裁判をして行くことができるのであ(る)、・・・・・・しかし、そこで用いられる「法の言葉」において(言葉を換えて言えば、判断が行われる「言語空間」において)、上記に述べたような意味においてより優れた表現を、学者の言説の中に見出すこともまた可能であるであろうし、そこに自らの判断の支えを見出すこともまた可能なはずである。学者は、このような裁判実務における自らの立ち位置を十分に弁えた上で、その言語表現能力を磨くべきであろうし、また、裁判官は、このような表現に接することに努めることによって、その表現の質を上げることを図るべきである。」
と述べておられました。

裁判は、裁判官の良識にかかるものであり、その良識が「法の言葉(法律用語という意味ではない)」によって語られる。その共通言語たる「法の言葉」の質を向上させ、裁判官の眼差しをより豊かなものにするものとして、(「裁判実務と学説」という意味においては、)学説は存在しているのだ、というように受け止めました。
こうした部分が特に印象深かったです。

税務の世界では、まだまだ、「法の言葉」が共通言語たり得ず、「言語空間」が十分には形成されていないように思います。
先人たちが築いてきた「法の言葉」を頼りに税務における法律の素養を養いたいと思います。

(左:北大法学研究棟前。紅葉がきれいです。右:藤田先生のご著書『最高裁回顧録』。)

2014年10月10日金曜日

番外編:宝塚探訪・・・お好み焼きととんこつラーメン

学会記事の続きです。
租税法学会(於:関西学院大学)に出席するために、兵庫県宝塚市に宿泊しました。
宝塚には温泉が湧くようで、旅館や三セクが運営する温泉施設があったり、ホテルにも施設がありました(私は歌劇団とパチンコ条例のイメージしかありませんでした。)。
 
さて、本ブログの定番(メインコンテンツ?)となりつつあるBグルメ情報ですが、やはり関西といえば、やはりお好み焼きですね!
webで調べてみたところ、宝塚には「宝塚いろは」さん、というお好み焼き有名店があるそうで前日の夕食はここに決定しました。
 
(きれいに焼いてくれて、目の前の鉄板の上に乗せてくれます。)
 
● お好み焼き『宝塚いろは』

注文したのは「海鮮ミックス」です。
ぶつ切りのタコがふわふわのお好み焼きの上に乗っています。
このぶつ切りのタコ、ふわふわの生地、そして、ビール!この組み合わせは最高でした。
宝塚周辺に泊まる際は、駅からも近い(JR宝塚駅裏)ですし、おすすめですよ!

お店は金曜の夜ということもあり、小上がりやカウンターで仲間同士飲みながらお好みをツツク方が多かったです。
サイドメニューもありましたので、二人以上なら、ついつい長居してしまいそうなお店でした。
(ちなみに全席禁煙でした。)

 
(泡立つとんこつスープと店前の様子)
 
● らーめん工房あ

 インパクトがある名前と事前調査の結果、翌日の夜はここのラーメンを戴きました。
 注文したのは、「あ」らーめん。
 とんこつラーメンでかなりニンニクなども入っているような感じがしました。
 
 しかし、意外と重くなく、麺をするすると啜ってしまいます。とても美味しいです。
 
 替え玉もありますよ。替え玉の量も、半玉と一玉から選べたりしますし、お客さんのニーズに対する対応がきめ細かい印象を受けました。

 某新潟大学准教授によると、ここをチョイスしたのはベストチョイスだそうです。ここも大当たりでした。ここも長居できるようで、ビールなどを片手にサイドメニューを楽しむ方も多くいらっしゃいました。餃子や油淋鶏など、他にもちょっとしたサイドメニューもいろいろありましたよ。
宴会メニューもあるそうですが、頷けますね。

このようなわけで、今回の宝塚Bグルメのお店チョイスは◎でした。
二店ともおすすめのお店です。

2014年10月9日木曜日

宝塚での幸運・・・

(前回の租税法学会参加の記事の続きです。)
関税学院大学での租税法学会に参加するために宝塚に宿泊しました。
その宝塚にて・・・ 

偶然にも宝塚歌劇100周年記念、音楽コンサートを鑑賞することができました。
阪急鉄道宝塚駅に隣接する、宝塚ソリオという商業施設で、元タカラジェンヌの絵莉千晶さんのミニコンサートが開催されていました。
 
帰りのバスの待ち時間が小一時間ほどありましたので、宝塚ソリオ内をお土産などを物色しながらブラブラしていたところ、歌声が聞こえたので音源の方向へ行ってみると・・・そこではミニコンサートが開催されていたのです!
 なんという幸運でしょう!
 
(かなり見にくいですが、宝塚歌劇で使われている楽曲が演目に並んでいます。)
 
 
 
歌唱の様子からは、歌への愛情が感じられました。
気持ちがこもった歌唱に、会場からは惜しみない拍手が送られていました。



 
初めて宝塚の方の歌唱を鑑賞しましたが、本当に感動しますよ。
今度は是非、宝塚歌劇場に訪れたいと思いました。

2014年10月6日月曜日

第43回租税法学会に参加してきました。

関西学院大学で開催された第43回租税法学会に参加してきました。
 
今回は、会場が兵庫県にある、関西学院大学西宮上ヶ原キャンパスということで、千歳空港から伊丹空港までの飛行機を利用しました。
今回は関西学院大学の最寄駅が阪急鉄道甲東園駅ですので、阪急電鉄沿線の宝塚に宿泊しました。(例によって、宝塚でのB級グルメ情報も掲載する予定です。)
 
(右二枚の画像は関西学院大学の美しいキャンパスの様子。まるで外国のようです。)
 

 関西学院大学のキャンパスはとても美しく、木々が豊富に植えられているというのが印象的でした。よく手入れもされているように見受けられます。
 メインストリートには、ヤシの木も植えられていて素敵ですね。
 私もこんな綺麗なキャンパスで学部生生活を送りたかったです。
 
 (左:案内板 右:開始前の様子。)
 
 今年度のテーマは「地方税財政の諸問題」でした。
 今大会のご報告は、
1.慶應義塾大学の吉村典久先生が「地方団体の財政確保に向けての地方税財政改革 ―ドイツにおける地方団体の自主財政主義の模索とその限界―」
2.新潟大学の今本啓介先生が「アメリカ合衆国における自治体破綻法制」
3.一橋大学の吉村政穂先生が「地方企業課税 ―地方間の対立と調和」
4.東北大学の渋谷雅弘先生が「固定資産税の現状と課題」という内容でした(報告順)。
 
 詳しい内容は、後日発刊される『租税法研究』の最新号をご覧いただきたいのですが、特に、今本准教授の自治体破綻時の救済手続きとして慣習法上、債権者が自治体を被告として、「新たな租税の賦課を命ずる職務執行令状の交付請求」ができるという点が興味深かったですね。この点、直接の関係があるのかどうかまだわかりませんが、Clayton Gillette教授は、「倒産裁判所は、増税やサービス削減を含む「資源の調整(resourse adjustment)」を行うべき」と主張しているそうです(今本准教授が紹介されていました)。
 米国法には公法と私法の区別がもちろんなく、自治体についても、我が国とは違って、住民(構成員)の集合体であるという、会社などのほかの団体とやや並列的な捉え方がなされているような印象を受けました。今本准教授の今後の研究に注目です。

2014年9月19日金曜日

平岸探訪。少し遅くなった日には・・・

少し遅くなった日には、平岸のKKR病院のすぐそばにある、
『サッポロ珈琲館平岸店』さんで軽く食事を済ませることもあります。
もちろん、ランチでも利用しています。

軽食は、トーストなどもありますが、アボカドとエビのホットサンドを注文しています。
美味しいですよ。

吹き抜けがあって開放的な空間で珈琲を楽しむことができます。

 
(左はホットサンドと珈琲のセット、右は夜の珈琲館の様子。ライトアップされてきれいです。)



 (たまには、お昼にほっと一息。キャラメル・カフェ・ラテ、頭を使った後は甘いものが欲しくてキャラメル多めで注文しました。)


2014年9月7日日曜日

「浜辺と海をきれいにする会」に参加してきました。

第36回「浜辺と海をきれいにする会」に参加してきました。

 「浜辺と海をきれいにする会(通称「浜辺と海」)」は、毎年、夏の終わり頃に開催されています。・・・海浜利用客やキャンパーが残したゴミや漂着したゴミを拾っています。
浜辺と海をきれいにする会は、36年続いている会です。第一回の頃は、参加人数も少なく、利用客が残したとみられるゴミも多く、100㎡に散乱しているゴミを拾うだけも1時間以上かかったそうです。

 所長も弁護士の和田壬三先生とのご縁で創設時からメンバーに加わっております。

 今では、山の手高校などの学生さんや企業のグループ参加もあって、バス9台ほどが乗り付けるほどの大所帯となりましした。かなりの賑わいです。
(児童や生徒の皆さんがゴミ拾いにいそしんでいる姿は一見の価値ありです。とても清々しい光景ですよ!)

(↑バスの到着の様子、参加者のご様子、大会主催者の和田先生のご挨拶のご様子↑)

(↑私が拾ったゴミ、みんなで拾ったゴミ↑)

人数は多くとも、一人頭、まだこれだけのゴミを集めることができます(左の画像)。
それでも、大人数でゴミを拾うとみるみる間に砂浜がきれいになっていきます。

(↑大会名物となった味噌おでんです↑)

青空の下で頬張る味噌おでんは格別ですよ。
写真はありませんが、お子様向けの「環境クイズ」や「浜辺での宝探し」などの催しもあります。

(環境クイズのほとんどはお子様向けの○×クイズなのですが、突如「日本に環境権というものは存在するか?○か×か?」という問題が・・・。このご時世、普通は○だと思いますよね?しかし、環境基本法などの実定法上はもちろん、判例法でも正面から私人の「環境権」は認められていません。学説上は主張されているが、いわゆる実定法秩序においては、「環境権」という権利はまだ認められていない、ということです。明らかに法律家が考えたとしか思えない内容に苦笑してしまいました 笑)

ここ10年くらいで児童、生徒の参加が増え、会の環境教育的な色彩も強くなってきました。

(↑清掃後の海浜。美しい!とても爽快です↑)

(↑参加証、協賛者一覧↑)
参加証には、丹羽会長の「多くの皆様の参加を心より感謝するとともに、地球市民として誇りに思います。」とのお言葉が記されています。

戸井敏夫税理士事務所も微力ながら協賛しております^^



2014年9月6日土曜日

平岸でランチ・・・デリーガーデン


事務所がある平岸街道に気になるカレー屋さんがあります。
インパクトがある看板と建物のカレー屋さん。


 見るからにインドの方がなさっていそうなお店・・・と思っていましたが、当たりです!
インド人シェフが作るカレーはやはり旨いんですよね。

期待を裏切らない、味わい深い美味しさでした。

リピートしてしまいそうです...

外からはわからないのですが、お昼には、ランチセットがあって、
カレーとサラダにナン(orライスor両方)が付いて810円からでした。
今回は、ライスとナンの両方を頼んだのですが、結構な量ですね。
オーダーしたのはチキン・ティッカという一品料理が付いたセットです。
(画像の右下にある、辛そうなチキンです。実はそれほど辛くありません。ビールに合いそうです。)
最初だかったので、チキン・ティッカも付けましたが…お腹いっぱいです。

とても美味しかったです。
ご馳走さまでした^^

2014年7月30日水曜日

お盆休みのお知らせ

当事務所は、8月13日水曜日から17日日曜日までお休みを頂戴いたします。
休暇中は、ご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

2014年7月11日金曜日

所得拡大促進税制のわかりやすい解説

平成25年4月からの新しくできた『所得拡大促進税制』ですが、
今年(平成26年度)から、より一層、適用しやすくなりました。

以下、ポイントをかいつまんで説明いたします。

そもそも、この税制は、どういうものかというと、
会社や個人事業主さんが支払うお給料が前の年よりも多くなると、税金が安くなる
という制度です。

たとえば、去年に比べて、
アルバイトさんのお給料なども含めて、「今年は給料を多く払っている」
と思い当った経営者の方は一度税理士にご相談されると良いと思います。
(もっとも、通常は税理士事務所から話を持ってきますので、ご心配なさらないでください。)

去年までのこの制度では、支払ったお給料が前年比で5%以上増えなければ適用されなかったのですが、
今年からは2%以上増えていれば良いことになりましたので、
多くの会社や個人事業者さんがこの制度の恩恵を受けられるようになったのではないかと思います。
(増加率が2%というハードルは相当に低いと思います。)

ところで、
この制度を使って、結局いくら税金が安くなるのかといいますと、
増やしたお給料総額の10%です
(ただし、法人の場合は、法人税額の10%まで、個人の場合は、所得税の額の一定の額の10%までの金額で、限度があります。なお、資本金1億円以下の中小企業者等の場合には、税額の20%以内が限度とされます。)

そして、この「お給料」がどういうお給料を指すかということが問題になると思うのですが、
この「お給料」の範囲は、相当に広く、税法上の「給与」であれば、ほぼすべて入ります。
例えば、アルバイトのお給料なども入ります。
(範囲は本当に広く、いわゆる「お給料」のことだとご理解ください。通勤手当なども入ります。)
ただし、役員や役員の親せきなどの役員と特殊な関係にある人に対する給与や、いわゆる使用人兼務役員(取締役経理部長とか)の給与は入れることはできません。
さすがに、社長や役員、その家族のお給料を上げて、税金が安くなる・・・ということはないので注意してください。

また、当然ですが、納める税額がなければなりませんので、黒字の場合のみの適用ですし、「青色申告」をしていることが必要です。
なお、いままで説明した要件に加えて、「従業員一人あたりの平均給与が増えていなければならない」という要件もあるのですが、こうした点は税理士事務所に計算をさせてください。

さいごに、もうひとつ、ポイントがあります。
特に法人税でのお話ですが、この制度は、会社だけに適用されるわけではなく、様々な法人に適用可能だということです。
もちろん、医療法人しかり、社会福祉法人などの公益法人しかりです。
このような法人の方も、是非とも税理士にご相談ください。

なお、ややプロ向けのような気もしますが、経済産業省のHPでの説明がよくできていてわかりやすいと思います。
また、同HPのQ&Aもこなれていて大変にわかりやすいですから、下にリンクしておきます。

経産省の所得拡大促進税制ウェブページ:http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai.htm
同Q&A:http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai-QA.htm